「セッション」の感想
テレビCMをずっと見ているような映像
この映画のキャッチコピーは「才能と狂気」らしいのですが、私が観ていてまず気になったのは映像です。まるでテレビCMをずっと見ているような感じで映像がテンポよくどんどん切り替わります。どこで停止ボタンを押しても画になるようなシーンばかりです。特に演奏シーンはPVを見ているようです。正直こんなCMみたいな映像が最後まで持つのかなと思ったのですが、ちゃんと最後まで映像のかっこよさは保たれていました。
役者も良かった
主役のマイルズ・テラーも助演のJ・K・シモンズも良かったです。J・K・シモンズの罵倒っぷりもすごい。この時代に人種差別とか暴力とか平気で指導している姿は、今の子供への教育を揶揄しているようにも見えます。J・K・シモンズの演じるフレッチャー教授の行き過ぎた指導は先が見えず、次に何を言うのか、何をされるのか主人公と共に緊張してしまいます。
指揮者のリアルさ
J・K・シモンズが演じるフレッチャー教授の指揮や指導を映画中に何度も見るのですが、最初に指揮を振る姿を見たときは「この人は相当指揮者の動きを観察したんだな」と思いました。指揮を振る時の手の動きや、一人ずつ順番に音を出させていくスピードなどがとてもリアルに感じました。ただ、指揮の振り方がリアルだったのは最初だけで段々とモノマネになってしまっていましたが。
ショートムービー
DVDにはショートムービーがボーナストラックとして鑑賞できます。内容としてはニーマンが初めてフレッチャー教授のバンド練習に参加した部分のみですが、ニーマン役が別の人で教室も別の場所です。
これを見ると本編のニーマン役のマイルズ・テラーの演技がうまかったなぁと改めて感じます。あと、本編よりも映像にもたつきがあります。トロンボーンが教室から出ていくときにわざわざ荷物を取りに行ったり、椅子を投げるシーンに勢いと迫力が本編よりも削れています。
ジャズを聴きたくなる映画
結論としてはCMのようなテンポのいい映像と映画中のジャズの相性が良かったです。人によっては観ていてちょっと疲れちゃうかもしれません。でも狂気とジャズと勢いに合っていて面白かったです。かっこいい映像と相まって「ジャズっていいなぁ、私も普段からジャズ聴いてみようかな」なんて気になります。音楽への狂気に満ちた指導も今の時代には無いもので、子供と親御さんへのご機嫌伺いのような教育に違和感を覚える人にも面白いんじゃないかと思います。最初は女々しかったニーマンが、ラストには変貌するのは観ていて気持ちがいいです。
0コメント