【Book】「小澤征爾さんと、音楽について話をする」の感想というか紹介

小澤征爾ファン、村上春樹ファンどちらも楽しめる本。

この本(以下「今回の本」)は小澤征爾ファン、村上春樹ファンのどちらが読んでも楽しめる本です。内容としては村上春樹がインタビュイーとなり、小澤征爾がインタビュアーとして音楽や仕事、後進への育成について対談したものをまとめています。インタビューが行われた時期は2010年11月~2011年7月だそうです。


小澤征爾の天才ぶり、村上春樹のマニアぶり

私は小澤征爾の「ボクの音楽武者修行」(新潮文庫)も読んだことがあるのですが、今回の本でもやはり「この人は天才だなぁ」とつくづく思い知らされます。また村上春樹の小説では何度も音楽が出てくるのですが、その音楽好きが相当なものである証拠を今回示された感じです。


前半はレコードをかけながら

前半というか全体の2/3程が、レコードをかけたりしながらのインタビューです。村上春樹のレコードへのマニアぶりに驚きつつ、小澤征爾が今までに師事してきた人や交流のあった音楽家の話を聞けます。またサイトウ・キネン・オーケストラやボストン交響楽団、ウィーン・フィルなどの話も盛り込まれ、それぞれの違いなども話されています。


スイスでの後進の育成

「第五回 オペラは楽しい」の後、「スイスの小さな町で」が収録されています。これはインタビューという形ではなく、小澤征爾がスイスで取り組んでいる後進への育成について村上春樹の視点から書かれたものです。小澤征爾が合宿を行っているところへ実際に村上春樹が足を運びともに学生らと過ごしたそうです。そこでの合宿やその後のコンサート、「良き音楽」が作られるまでについて語られています。「第六回 決まった教え方があるわけじゃありません。その場その場で考えながらやっているんです」ではインタビューの形に戻り、小澤征爾と村上春樹それぞれの後進への育成についての話が聞けます。


「厚木からの長い道のり」

季刊『考える人』2013年秋号掲載の「厚木からの長い道のり」も収録されています。これもインタビューの形ではなく、小澤征爾と大西順子とジャズについての話です。これを読むと小澤征爾の音楽への熱い姿勢や村上春樹のジャズへの深い造詣と共に、その思いを知ることができます。


感想

今回の本でインタビュアーである小澤征爾の音楽への熱意や仕事への姿勢を垣間見ることができます。ただそれだけではなくインタビュイーの村上春樹も同様です。それぞれの造詣や思い、音楽への熱意や真摯な姿勢の一端を知ることができるのはファンとして読んで楽しかったといえます。もちろん音楽への興味を以前より一層掻き立てられるのは言うまでもありません。また小澤征爾という天才を村上春樹という友人と文章を通して読むことができるのも楽しさの一つです。スイスと厚木の話は村上春樹一人の視点から書かれており、村上ワールドを楽しめました。インタビューの文章中にも村上春樹の世界が見え隠れしており、マンゴーとパパイヤの件は思わず笑ってしまいました。私はちょうど電車内で読んでいたのですが、ニヤけてしまいました。くそぉ。

MEMO

仕事や趣味の備忘録。WEBデザインやコーディング、CMSについてのメモ。映画の感想など。

0コメント

  • 1000 / 1000